補助科目の利用のしかた

補助科目を活用すると、幸せがやってくる、かも。。。

快速会計では、会計期間の途中でも、勘定科目に補助科目を設定することができます。メインメニューの「設定」から行います。
勘定科目に補助科目をいくつか設定したとして、補助科目に別々の税区分を設定することができます。
このトピックでは、その具体例と、そうするとどんな良いことがあるのかを書きたいと思います。
消費税の課税事業者で、本則課税の法人という前提です。
ただし、補助科目を増やすと、入力に少し手間がかかるようになるので、必要最小限に留めましょう。

【具体例-1】
飲食業で、店内の飲食の売上と、テイクアウトの売上があるとします。
「700:売上高」に補助科目を設定し、「1:店内」「2:テイクアウト」と補助科目名を決めます。
「1:店内」の税区分を「課税10%」とします。「2:テイクアウト」の税区分を「課税8%軽」とします。

【具体例-2】
常備薬の購入や、お茶・コーヒー・お茶菓子・夜食代を福利厚生費にしている場合に、「746:福利厚生費」に補助科目を設定し、「1:飲料水等食料品」「999:その他」と補助科目名を決めます。
「1:飲料水等食料品」の税区分を「課税8%軽」とします。「999:その他」の税区分を「課税10%」とします。

【具体例-3】
交際費の内容もいろいろありますから、補助科目を設定すると役立ちます。
「753:交際費」に補助科目を設定し、「1:接待等飲食代」「2:土産等食品代」「999:その他」と補助科目名を決めます。
「1:接待等飲食代」の税区分を「課税10%」とします。「2:土産等食品代」の税区分を「課税8%軽」とします。「999:その他」の税区分を「課税10%」とします。
接待ゴルフなどは「999:その他」を使います。気をつけないといけないのは、お土産やお中元・お歳暮がお酒だったら「課税10%」なので、「2:土産等食品代」ではなく「999:その他」を使います。「3:酒類の土産・贈答品」を作って、税区分を「課税10%」とする方法もありますが、年に数回のことなら「999:その他」を使うことで良いかなと思います。

【メリット】
上記のように補助科目に税区分を設定すると、仕訳入力のときに、補助科目をコンボボックスから選ぶと同時に、金額欄に税区分が設定されるので、税区分リストを表示して、そこから税区分を選ぶ手間が省けます。
また、常に正しい税区分が、自動的に設定されるようになります。
税区分の設定ミスはけっこう多いので、それを防止するとても良い方法です。

【総括】
補助科目に税区分を設定していない場合は、勘定科目のほうの税区分が使われますから、補助科目に税区分を設定することは必須ではありません。
ただし、上の例でいうと、勘定科目のほうの税区分は(課税)となっています。(課税)とは標準税率の意味で、今なら(令和5年5月)、「課税10%」ということです。
仕訳の入力作業に時間を掛けたくないときは、(課税)と設定されることを容認すれば良いし、性格的に(?)あるいは、税理士先生のご指導で「はっきりと、帳簿で、課税10%と見えるようにして下さい」と言われるなら、税区分リストから選んで「課税10%」を設定して下さい。
私はへそ曲がりなので、結果が正しく、同じになるなら文句ないでしょうと言いたい。誰に?税務署に?税理士に?他の会計ソフトメーカーに?(笑)
20年前から独自路線でやってきましたので、賛否両論あり、だと思いますが、フリーソフトでありながらも、矜持は持っていまして、このたびのインボイス制度対応版でも、真っ向勝負という意気込みは有るわけです。
<インボイス制度対応関連>
補助科目マスタで、補助科目に設定する項目の中に、「インボイス制度の登録番号」は有りません。適格請求書発行事業者か否かの設定も有りません。
自社の会計ソフトに、これらを設定するように決めた会計ソフトメーカーが有るようですが、弊社はそんなことはやりません。
受け取った請求書が、適格請求書か区分記載請求書かを記録する会計ソフトも有りますが、快速会計では、支払先が適格請求書発行事業者か否かを記録するようにしました。
そのために、仕訳入力伝票の明細行の右端に「適格事業者マーク」というオプションボタンを設けました。そして、あらゆる仕訳の(すべての明細行の)「適格事業者マーク」の既定値を「Yes/はい」にしました。
費用以外の、非課税・不課税の取引でも(普通預金/現金とか)、売上の取引でも、「適格事業者マーク」の既定値が「Yes/はい」と付きますが、これは無視して下さい。「税区分別取引集計表」の作成時に、集計対象に含めるもの・含めないものを判定しますから、安心して下さい。
まぁ、大胆な仕様ではありますね。否定的ご意見が多いかも知れませんが、こうすることで、最も素早い入力ができるのです。なにしろ「快速会計」ですから。
ちなみに、売上高等の収益科目の仕訳では、得意先が適格請求書発行事業者か否かを確認する必要は有りません。インボイス制度は、仕入税額控除を適正にするための制度だからです。

売上原価、販管費、固定資産の購入の仕訳の時だけ(仕入税額控除の対象になるものだけ)、支払先が適格請求書発行事業者か否かを確認して下さい。
適格請求書発行事業者ではないと判明したときに限って、「適格事業者マーク」を「No/いいえ」に変更します。
変更する(区分を切り替える)操作は、マウスクリックでもできますが、オプションボタンにフォーカスが当たるとボタンの形が変わりますから、そのときに、キーボードのスペースキーを左手の親指で押して変更することができます。押すたびに、Yes→No→Yes→No となります。
他のどの会計ソフトよりも、切り替え処理がスピーディーです。
適格請求書発行事業者ではない事業者(略称:非適格事業者)に区分を切り替えた場合、経過措置期間中には、「80%控除対象」または「50%控除対象」という文字の記載された付箋が、自動的に付くようにしました。

経過措置期間中の少額特例とか、3万円以下の公共交通機関への支払のこととか、ユーザーも知っておかないといけないインボイス制度の決め事が有りますが、それらのすべてをプログラムがカバーできませんので、「ユーザーの判断」も重要です。
高級な会計ソフトでは、これらも自動化しようと開発を進めていることでしょうが、皮肉なことに、多機能になればなるほど、会計ソフトは使いづらいものになってしまいます。
経過措置期間(6年間)が終われば必要なくなる機能を、盛り込むべきかどうか。「80%控除対象」または「50%控除対象」という記録は重要なので、対応しましたが、さて、そのほかはどうするか。
快速会計 for Access Ver.6.01は? Ver.6.02は? 単なるバグフィックスとなるか、性能アップになるか。
みなさまの評価を待って、判断しようと思います。